天文館の薩摩焼の壁画

天文館の薩摩焼の壁画

株式会社まきの商店のビル壁面には「巨大な薩摩焼の壁画」があります。

現在はアーケードによってその全貌を見ることはできませんがすべてが薩摩焼(長太郎焼)にて作成されたものです。

「薩摩焼き」の歴史は古く、戦国時代の15291598年までさかのぼります。

その始まりは、豊臣秀吉が行った朝鮮出兵(文禄・慶長の役)の際に、当時の藩主「島津義弘」公が朝鮮から連れ帰った李朝の陶工たちによってはじめられ、薩摩藩の保護の下に発展してきました。

なかでも「長太郎焼」は、薩摩藩主島津家御庭焼の絵師有山長太郎(初代)が開窯してから約120年の歴史をもつ薩摩焼の窯元です。

壁画は、横38枚縦70枚の計2,660枚のタイル(薩摩焼)で構成されており、1963年(昭和38年)に 永松 操 によって作成されました。

1200℃を超える高温で焼き上げられたタイル(薩摩焼)からは放たれるエネルギーと力強く飛ぶ鶴の姿はそのスケールの大きさからか見る者を圧倒します。

日本文化において鶴は、「千年の生を持つ」と言い伝えられ、縁起の良い生き物で有名です。「吉祥と長寿」の象徴である鶴の壁画には会社と街が共に繁栄することの願いが込められています。

天文館の隠れ観光スポットです。

天文館にお越しの際は是非足をお運びください。

 

 

永松 操(ながまつ みさお・光風会・西河口美術研究所所長・東京芸大油絵科)